ブーランジェリーシェフとの交流も広く、様々な活動されています。
さんださんは、「自宅で作るパンのいいところは、自分で選んだ安心の素材で自由に焼き上げたパンを大切な人と食べるひととき。」 と言います。
日々、教室を運営しながら自らも学び、パンに触れる暮らしの中での気づきや、パンを楽しむ皆さんへ伝えたい事を綴っていただきます。
アトリエへちょっと立ち寄るような気持ちで、ご覧くださいね。
7月上旬、北海道江別市。
パンラボ池田浩明氏によるベーカリーやプロを対象とした
江別製粉工場見学と小麦畑ツアーが行われていて、私は途中から合流しました。
アトリエで使用している小麦粉は、
おもに 「はるよこい」「OPERA」をベースとして、
パンによって「キタノカオリ」「はるゆたか」なども使います。
ご案内下さった江別製粉株式会社の方の丁寧な説明を聞きながら、
「はるよこい」「きたほなみ」の2種の小麦畑を回りました。
念願の小麦畑…!
サラサラサワサワと風に揺れる、
「はるよこい」のまだ若い麦穂が美しくて
思わず動画撮影してしまったほど…。
春まき小麦の「はるよこい」
春まき小麦 「はるゆたか」の後継品種。
野毛(のげ※)がやわらかくしなやかな手触り。
小麦の粒はまだ小ぶりな印象です。
※ 野毛 : 小麦の穂から出ているヒゲのようなもの
春まき品種は4月中旬~下旬に種をまき、
8月上旬~中旬に収穫。
春まき品種は他に「はるゆたか」「はるきらり」 。
秋まき小麦の「きたほなみ」
「ホクシン」の後継品種。
野毛がなく、ちょっとごつごつ。
収穫時期が近く粒も大きめ。
この日(7月上旬)から20日程で収穫できそう、とのこと。
秋まき品種は、9月下旬~10月上旬に種をまき、
翌年7月中旬~下旬に収穫する小麦。
「きたほなみ」は道内で1番多く作られている品種で、
幾つかのブレンド用にも使われています。
秋まき品種は他に「キタノカオリ」「ゆめちから」。
江別製粉の方からいただいた、収穫直前の写真もご紹介します。
“幻の小麦” はるゆたか
小麦畑を見られませんでしたが
一時“幻の小麦”とも言われた「はるゆたか」は、
家庭製パンをされる方にもファンが多い小麦です。
「はるゆたか」は、雨による赤カビ病や穂発芽に弱く、
収穫量が不安定なため、
農家さんが積極的に作れなくなったことも、
多くの収量を望めない(=幻の)小麦となった理由だそうです。
江別市では栽培方法を”初冬蒔き”に改善したことで、
開花時期と収穫時期を少し早めることに成功しました。
そのため、「はるゆたか」を赤カビ病や穂発芽から守ることができ、
安定した収穫ができるようになってきたと伺いました。
天の神様には悩まされることも
小麦は収穫のころ‥
雨にあたると穂発芽しやすくなります。※
芽が出てしまうとアミラーゼの活性が高まり、
小麦に含まれるデンプンが分解されます。
※品種により雨にあたってから穂発芽までの時間は異なります。
これによりパンが膨らみにくく
小麦粉としての品質が悪くなってしまいます。
(台風の影響を受けやすい本州の畑は、
収穫期に雨が続いたため穂発芽してしまい、
ほとんど収穫ができなかったという話も聞いたことがあります。)
こちらは美瑛の畑。
収穫を待つばかりの「ゆめちから」。
いつかこんなふうに黄金色に輝く小麦畑を見てみたい。
収穫に適した時期はほんのわずか。
このコたちが収穫のころ天候に恵まれますように。
農家さんたちが育てて収穫し、
製粉会社さんが届けてくれた小麦粉を
使わせてもらっていることを忘れないように。
おいしいパンを焼いて、
おいしくいただきたいと思うのです。
協力:江別製粉株式会社
TEXT:Yumiko Sanda / Photo:Yumiko Sanda,Ebetsu-Seifun