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パン作りをする人のためのパンキッチン

手ごねで簡単、岩のりリュスティックを調査!~モアザンベーカリー・神林慎吾シェフ


山﨑豊シェフ(元Gerard Mulotシェフ)を中心に、東北大震災からの復興支援のために行われている「チャリティ製パン講習会」。
5月22日に愛工舎製作所で行われた第14回に、モアザンベーカリーの神林慎吾シェフが登場。
手ごねでとっても簡単にできる、岩のりリュスティックを披露した。
もっちりしてやわらかく、バターがじゅわっとにじみでてくる。
新宿のモアザンベーカリーでは、併設のホテルに泊まる外国人に絶賛を浴びているという。

ミキシングは手ごねで行う。
「手ごねでおいしいハード系が焼けます。
甘みが強く出ます。
ゆるみやすいので、そこだけ注意してください」

ボウルの中に水を入れ、生の青海苔(15%。種類によっては酵素で生地がゆるむ可能性あり)を入れてほぐし、塩(シママース2.1%)、インスタントドライイースト赤(0.3%)も投入。
「ドライイーストは水のほうに入れると、混ざりやすくなります。
軽く混ぜて、すべてを溶かし込んでください」


つづいて、10P09(江別製粉、50%)、キタノカオリブレンド(江別製粉、30%)、パウダーライスC1(新潟製粉、20%)をブレンド。

「配合の特徴は米粉を使っていること。
岩のりと日本的な相性があります。
僕は、10P09が好き。
もろもろ感があるので、いろんなパンに使っています。
もう半分、香りを出すためにキタノカオリブレンドをブレンドしています」

手ごねはごく軽く合わせるだけ。
ものの3分ほどで終了。
「粉を水和させるだけです。
粉と水を合わせるだけで、パンチでつないでいきます。
水和だけさせるようにしたら、ボリューム出るし、生地もしっかりする。
練りすぎると、逆にダレるし、ボリュームが出ません」

フロアタイムは、20分おきにパンチを3回。

「生地をぐーっとひっぱって、向こう側に投げる。
それの繰り返し。
引っ張れないときはそのままで大丈夫。
最後にはまとまります」

パンチをするごとに、生地がだんだんできあがってくるのを感じることができる。
3回目のパンチでは、
「もうグルテンがつながってますね。
ひっぱったら、生地ごと持ちあがっちゃうぐらいつながってます」

6℃で冷蔵、オーバーナイトさせる。

復温は16℃で。
生地を広げて、1cm角に刻んだ有塩バターを散らして、巻きこみ、バター(30%)を生地の中に入れる。

一旦休ませたあと、120gで分割、すぐに成形する。

「型の長さに伸ばして、ひねって型に入れるだけ。
ひねるだけで、均一の棒状になります。
ひねらずにそのまま入れてもいいですが、それだとぼこぼこしたり、バターが出たりする。
型を使う利点は、こぼれたバターを受けてくれることと、下がかりっとして、おいしいことです」


ホイロは30℃、湿度80%で、60~90分。
「時間は、生地温によって変わります」


窯入れ前の生地


その後、焼成。
上火240℃、下火200℃で20~25分。

「型の6分~8分目までふくらんだら窯入れします。
スチームがない場合は霧吹きして焼いてもらえば大丈夫。
底を飴状にするために、低温で焼きます。
しっかり火を通すために、最後は温度を上げて」


窯から出して完成。
おいしそうなバターが底に溜まっている。
「バターがじゅわじゅわしてる。
でも、落ち着くと生地にまた入っていきます」

神林シェフの教え方はとてもやわらかい。
終始、「僕はこうやっています」という感じで、押しつけるところはない。
その中には、神林さんのパンに対する考え方が潜んでいた。

「『こうです』って言い切るのがいいかもしれないけど、パンに絶対的な答えはないと思うんですよ。
だから、みなさんには発想するのを止めてほしくない。
実際にやってみるうちに、新しいものが生まれる。
パンの楽しさって、そういうところにある。
僕のレシピは8割ぐらいで、あとはご自分の発想を入れて。
新しい発想をしていただけたら、パンの未来があると思います」

MORETHAN BAKERY

「HOTEL THE KNOT TOKYO Shinjuku」に併設。町のパン屋として機能する他に、ホテルのダイニングにもパンを供給。また、ベーカリーにティースタンドやサンドイッチスタンドを併設。ホテルのロビーで軽い食事を楽しむこともできる。ルヴァンやカンパーニュ、バゲットなどハード系からあんぱん、食パンまで。国産小麦などを使用、口溶けいいパンがそろう。
東京都新宿区西新宿4-31-1 HOTEL THE KNOT TOKYO Shinjuku 1F
03-6276-7635
8:00~19:00
https://www.mothersgroup.jp/shop/morethan_bakery.html

「第20回チャリティー製パン講習会」のお知らせ

講師
近藤香苗氏(季節のお菓子教室「12菓月」主宰)
井上克哉氏(Auvergneオーナーシェフ)
伊原靖友氏(Zopf オーナーシェフ)
山﨑豊氏(元 Gerard Mulotシェフ)

日時・場所
東北石川食料株式会社2F加工センター
仙台市若林区卸町3-6-8
2019年11月19日(火)10時~16時30分(9時30分受付開始)

会費
7,000円(お一人当たり) *昼食付です

詳細はこちらまで
http://panlabo.jugem.jp/?eid=2197

Profile 池田浩明
パンライター。パンの研究所「パンラボ」主宰。ブレッドギーク(パンおたく)。パンを食べまくり、パンを書きまくる。日々更新されるブログ・twitterでは、誌面で紹介しきれないパンの情報を掲載中。主な著者に『パンラボ』(白夜書房)、『パンの雑誌』(ガイドワークス)などがある。
【BLOG】http://panlabo.jugem.jp/
【Twitter】@ikedahiloaki

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