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超人気店pain stockのパンが美味しい秘密

「pain stock 平山哲生氏による製パン理論と生地作り」をテーマとした製パン技術講習会が開催されました。(2017年11月 木下商店にて)

平山シェフは地元ベーカリー勤務後に渡仏、パリの名店「ル・グルニエ・ア・パン」で修業。帰国後は「ダンディゾン」浅野正己氏、「シニフィアン・シニフィエ」志賀勝栄氏に師事。その独自の製法を吸収し、製法と材料にこだわった数多くのメニューを確立している。2010年、福岡市東区に「pain stock」開業。パーキング待ちの列ができるほどに多くの来店客で賑わう人気ブーランジュリー。

超人気店pain stockのパンが美味しい秘密

講習で披露された「パンストック」「バゲットムニエ」より、製パン理論をほんの少し覗いてみたいと思います。そこにはパンの美味しさを追い求め続ける理論だけでなく、平山シェフの意思も込められているようです。

超人気店pain stockのパンが美味しい秘密

パンストック

店名を冠したスペシャリテ。ライ麦とライフレークの風味、焙煎五穀、麦茶の香りが深い味わいを生み出す自家製サワー種などを配合したカンパーニュ。

超人気店pain stockのパンが美味しい秘密

グルテンを意識したパン作り

サワー種とレーズン種を使用。これらはpHを落としてグルテンを軟らかくする(=生地の軟化を計る)ために用い、予備発酵をとった微量イーストも併用。
このパンにはさらに麦茶で蒸らしたライフレーク、“湯ゲル”が入る。ライフレークの溶けたデンプン質が保湿性を上げ、麦茶にはライ麦のえぐみをとる効果も期待できる。湯ゲルの考え方はおおむね“湯種”と同じで、α化(糊化)したデンプンを加えることで吸水を上げ、保水性・弾力性も高められる製法のこと。

『65~70℃でアングレーズを炊くような状態にしたものを”湯ゲル”と呼んでいます。湯種は熱湯で練るためにクラストが硬くなる。それが嫌なので温度を低めにしてクラストが硬くならないようにしています。60℃を超えると酵素は死滅するため、酵素活性による生地のだれにくさも緩和されます。
そもそも湯種というのはグルテン耐性がよくなくて、ダンゴになってしまいませんか? 普段しているという考え方ではなく、本当にその温度・配合が合っているのか、水の入る量はどれくらいなのかと疑問を持つようにしてほしいですね。
吸水については80%、90%、100%と入れた時、個々の違う味わいが感じられるものだと思います。それを繰り返して美味しいものを作る、ということです。』

※湯ゲルの作り方… 粉1:水5の割合で鍋に粉と水を入れてから温める。60℃に近付き、ポタージュのようになったら火を止める。酵素菌を残すように作っているため保存期間は冷蔵庫で2~3日。)

捏ね上げ温度

吸水90%を超える生地については氷水から少しずつ加え、生地温を調整。ただしグルテンができないと膨らまないので生地温が低すぎはよくない。

超人気店pain stockのパンが美味しい秘密

『捏ね上げ温度は20℃以下だとタンパク質が硬くて、生地も伸びずに硬い。しっかりミキシングしたほうが翌日の弾力が違うので、パンドミなら23℃くらいがいいかなと思う。でもイーストを多く使った生地は、繊細な捏ね上げ温度には左右されにくいですね。
パンストックのような長時間熟成させる生地は、軽さとしっとりさが両立する24℃がベスト。26℃を超えると軽すぎる気がしています。』

超人気店pain stockのパンが美味しい秘密

バゲットムニエ

フランス産BIO(ビオロジック、オーガニック)小麦を使った味の濃いバゲット。

超人気店pain stockのパンが美味しい秘密

酵素を意識したパン作り

酵素活性の強い、グルテンを緩める作用のあるBIOのT65を40%配合した冷蔵発酵の生地。BIOは粉に酵素がたくさんついているのが特徴。
酵素にはグルテンなどを分解する作用があり、生地のだれやすさや膨らみにくさに影響する。例えば収穫直後の小麦に挙げられるように、小麦の細胞組織が生きていて酵素活性が強いため、その影響で生地がだれやすくなる。

超人気店pain stockのパンが美味しい秘密

『酵素は働かせたくないけれど、味わいの一部でもあるので低温で生地を熟成させる行程をとります。酵母や酵素、乳酸菌は18℃以上で活性するため10℃以下に下げるようにしています。』

『80%近く入る水のうち10%がコントレックスを使うのには、フランス産小麦との相性もあります。コントレックスを一部加えるとコシが高く上がり、だれる生地を締めてくれ、サクみのある生地になります。ただし硬水がつくるコシと工程(パンチ)でつくるコシでは、味も食感も全く違うのは考慮しなくてはいけないですね。』

超人気店pain stockのパンが美味しい秘密

感覚として伝わることでも、文章に記すと複雑ですね。講習では平山シェフのパン作りに対する熱意や、美味しさを探究し続ける姿勢が感じられました。
pain stockのパンは長時間発酵でゆっくり作られるからパンの老化はゆるやか。食感の軽さや口どけの良さは、グルテン・発酵種・pHがキーワードになっているようです。後編では「グルテン・発酵種・pH」論について、もう少し深く掘り下げてみます。

Boulangerie pain stock

住所: 〒812-0053 福岡県福岡市東区箱崎6-7-6
電話番号: 092-631-5007
営業時間: 10:00~19:00
定休日: 月曜/第1・第3火曜

家庭製パン講師として、自らパン教室を主宰する、さんだ ゆみこさん。ブーランジェリーシェフとの交流も広く、様々な活動されています。さんださんは、「自宅で作るパンのいいところは、自分で選んだ安心の素材で自由に焼き上げたパンを大切な人と食べるひととき。」 と言います。
日々、教室を運営しながら自らも学び、パンに触れる暮らしの中での気づきや、パンを楽しむ皆さんへ伝えたい事を綴っていただきます。アトリエへちょっと立ち寄るような気持ちで、ご覧くださいね。

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