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人気店ネモベーカリーのパン作りを調査!

「ネモベーカリーのパン作りを調査」パンラボ池田浩明のパン探偵ファイル
山﨑豊シェフ(元ジェラール・ミュロ)、伊原靖友シェフ(ツオップ)、井上克哉シェフ(オーヴェルニュ)による、東北大震災の被災地を応援するための「チャリティ製パン講習会」。15回目のゲストは、森本まどか先生と、ネモベーカリー&カフェの根本孝幸シェフ。今回は、渋谷ヒカリエにも出店するなど最近勢いのある人気店ネモベーカリーのパン作りを紹介する。

イタリア経験から生まれた、根本流チャバタ

イタリア各地のパンを見てまわった経験のある根本シェフは、チャバタを得意とする。10%全粒粉を配合したチャバタインテグラーレは、普段お店に置かない、とっておきのアイテム。

「ネモベーカリーのパン作りを調査」パンラボ池田浩明のパン探偵ファイル

前日に粉とイーストと水で種を作る。
「常温で3時間発酵させたあと、8℃の冷蔵庫にしまって12時間。生地温が11℃に下がっているので2時間前に出して16℃まで戻した状態で本捏ねを行います。イーストが活発に動きはじめてる温度ですね。網目の状態に発酵してます。いい状態です」

「ネモベーカリーのパン作りを調査」パンラボ池田浩明のパン探偵ファイル

「ここに粉と水とオリーブオイルを入れます。オイルも最初から入れます。わざと油が分離した状態で持っていきたい。そうすると表面の感じが変わってきます。つるんとした、きれいなパンではなく、素朴な感じを出したい」

「ネモベーカリーのパン作りを調査」パンラボ池田浩明のパン探偵ファイル

バシナージュ(差し水)の加減

「2速で5分、3速で18分まわします。その後バシナージュ(差し水)しながら2分。ミキシングが長いと、生地がだめになるんじゃないかとか、オーバーミキシングの心配をするかもしれませんが、休ませることで生地は戻ってきます。

「バシナージュは水分量の微調整です。なぜやるのか。やると、窯伸びするし、気泡もきれいになるのかな。もちろん、吸水が入ることも確かです」

「ネモベーカリーのパン作りを調査」パンラボ池田浩明のパン探偵ファイル

「かなりやわらかい生地ですが、全粒粉が入ってるんで、しっかり水を吸ってくれる。見た目ほどやりづらくないです」

「ネモベーカリーのパン作りを調査」パンラボ池田浩明のパン探偵ファイル

「ネモベーカリーのパン作りを調査」パンラボ池田浩明のパン探偵ファイル

一次発酵を終えた生地を400gで分割する。
「だいぶぶりぶりになってますが、これでOK。軽く綴じて、綴じ目を下にします。切りっぱなしで15分置き、ゆるめてからのばします」

「ネモベーカリーのパン作りを調査」パンラボ池田浩明のパン探偵ファイル

生地に触れて、状態を見ることが大事

よく見ると、チャバタはぜんぶ同じ長さではなく、まちまちだった。
「伸びそうにないのは伸ばしてないんです。触ってみて、指で見てる感じですね」
生地に対するやさしさがおいしいパンを作る上で大事なのだと、根本シェフは教えてくれた。

「ネモベーカリーのパン作りを調査」パンラボ池田浩明のパン探偵ファイル

「チャバタのいちばんのポイント。この高さを覚えてください。チャバタはパニーニにして食べるもの。具を挟むともっと高くなります。握りつぶして持てる高さややわらかさが求められる。おにぎりといっしょですね。もし高さが出てしまった場合は、切り分けて食事と合わせたほうがいいと思います」

チャバタをやわらかく歯切れよい食感にするための焼成のコツとは。
「焼く時間は18~20分。これ以上長くしないようにしてください。白っぽいからといって長くせず、次はもっと高い温度でやってみようとか、そんなふうに考えてください」

「ネモベーカリーのパン作りを調査」パンラボ池田浩明のパン探偵ファイル

食べる人のこと、生地のこと、本場でつちかわれた長い伝統。それらを考え、リスペクトしながらチャバタは作られる。根本さんのやさしい人柄が表れていた。

TEXT & Photo:池田浩明

Profile 池田浩明
パンライター。パンの研究所「パンラボ」主宰。ブレッドギーク(パンおたく)。パンを食べまくり、パンを書きまくる。日々更新されるブログ・twitterでは、誌面で紹介しきれないパンの情報を掲載中。主な著者に『パンラボ』(白夜書房)、『パンの雑誌』(ガイドワークス)などがある。
【BLOG】http://panlabo.jugem.jp/
【Twitter】@ikedahiloaki

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