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ヨーグルト酵母~簡単初めての自家培養酵母づくり


3月中旬、ロティ・オラン 堀田誠シェフによるヨーグルト酵母を使った贅沢クグロフのレッスンが製菓パン材料専門店「クオカスタジオ自由が丘」にて開催されました。
そのレッスンの中で、堀田誠シェフが提唱するヨーグルトを使った酵母をおこし、生地を作ります。「初めて酵母作りに挑戦する人には、最適の酵母」と言われているそう。

ヨーグルト酵母は、生地のパサつきも抑えてくれるし、カビも生え難い

この発酵というのがお菓子屋さんにはできない、パン屋さんの専売特許のようなもので、近年特に注目されているテーマ。天然酵母や自家培養酵母という言葉は耳にすることがあると思いますが、酵母は生地により旨みを持たせたり味を複雑化させるため、パン屋さんが最もこだわりたい分野なのです。
堀田シェフ曰く「ヨーグルト酵母を使うメリットは、たくさんあるよ。乳酸菌を盾にして育てた酵母はパンにカビが生え難いし、生地のパサつきも抑えてくれるんだ。イースト量が少なくても、元気に膨らんでくれるよ。」

もし自分のパン作りにもう一歩工夫をしたい!楽しみたいな、とモヤモヤしている人がいたら、今回のヨーグルト酵母をぜひ試してみてください。
なんだかわくわくする、初めての自家培養酵母作り。編集部で試してみました。これから気温も上がり発酵にぴったりの季節になります。自家培養酵母を作ってみませんか?

作ってみた、初めてのヨーグルト酵母

作った日:3月下旬 
室温:10~18℃度前後(エアコン時折使用)
※酵母のいちばん活発な生育温度は25℃~35℃よりも低めになります。

材料(全粒粉、ヨーグルト、水、ハチミツ)を計量しました。
(各分量はページ末にてご紹介しています)

自家製ヨーグルト酵母作り
発酵が活発化しやすい温度は27~28℃といいます。
絶対やらなければならないわけではないですが、早く発酵したい方や温度管理が気になる方は捏ね上げ温度の調整をやってみてもいいかもしれません。

捏ね上げ温度を調整するためのアイデア

それぞれの材料温度が違うので難しいですが、堀田シェフが教えてくれたのはこんなアイデア。粉・ヨーグルト・水の3点の合計温度で調整すれば大丈夫。
捏ね上げ温度の目安84℃(28℃×3)に近づけるために、ヨーグルトの温度を測ります。
冷蔵庫から出して15分くらい経ったでしょうか。12.3℃でした。


粉は常温に出しておいたので、約17℃。
84℃-12.3℃―17℃=水の温度約53℃ に調整。水は浄水器の水です。ぬるま湯に温めて、水を足しながら温度調整。あまり厳密ではなくても大丈夫だと思います。


ボウルに全粒粉、ヨーグルト、ハチミツ、水を入れ、ゆっくりそっと混ぜ合わせます。


全体が混ざればOK.数分もかかってないですね。

容器に移して、ふたをします。作りたての量はこのくらいでした。

1日目 3月27日朝 作りたて

置き場所は、キッチンの窓辺(北西側なので日当たりは若干)にしました。

12時間おき、朝・晩にスプーンで混ぜました。講習では発酵温度を管理して48時間で完成させていたのですが、ホイロを持ち合わせてなく、まだ肌寒い早春。なかなか発酵せず悶々と焦る気持ちを我慢しながら、2日目、3日目も朝と晩に混ぜます。
(冷やさないためにやってみた工夫はページ末でご紹介しています。)

4日目 3月31日朝 ようやく発酵の兆しが!

気温も20℃前後に上がる日も出てきたので、よかったのかもしれませんね。


混ぜてみると、しゅわしゅわ感が出てきました。

5日目:4月1日朝 発酵してますね。やった。

このくらいかなと思ったら、冷蔵庫で保存します。

やってみた!温度管理の工夫

・気温が低い時は、暖房の前や日当たりのよい窓辺へ移動させてみた
・鍋にぬるま湯(30℃前後)を張って、保温。(ふたをしてタオルでくるむ)。冷えてきたらお湯を足して調整するといいのですが、頻繁に見ることができないので、今回は朝晩にケアする程度にしました。※50℃を超えると菌が死んでしまうので、ご注意を。
※鍋ではなく発泡スチロールのボックスがあればそれも使えます。
材料を混ぜ合わせる時に捏ね上げ温度を調整しても、寒い時期で温度管理ができない環境だったら、夜に冷えてしまうようですね。計量の時に細かく気にしなくてもよかったのかもしれません。

種継ぎは時短でかんたん!/冷蔵保存は、1週間位

ヨーグルト酵母を作ってしまえば、2回目からは種継ぎができるので、発酵する時間を短縮できます。冷蔵保存は約1週間が目安。経過日数によって酸味が強くなり複雑な味になるので、自分の好みを探してみてくださいね。

堀田シェフの伝えたかったこと・酸味と日持ちを考えてみよう

堀田シェフは、難しい発酵の話をわかりやすく丁寧に、時折ジョークを交えて受講者を楽しませながらレッスンを進めてくれます。今回の講座では、このヨーグルト酵母を使ってクグロフを作りました。

「今回は、酸味のあるパン作り・日持ちできる発酵菓子を提案したかったんだ。ヨーロッパの田舎パンを想像してみて。酸味のあるパンは以前の日本では受け入れられてなかった。でも今はドイツパンもOKでしょ。酸味があるというのは、生地のパサつきを抑えて食感が変わるし、カビ防止の役割もある。酸味が苦手な場合は、甘味と合わせるとまろやかになるよ。
色々なパン屋さんは今、膨らむだけがすべてじゃなくて、複雑な旨み、こだわりの味を求めてオリジナルの酵母作り(複数の微生物を使う)に力を入れはじめてるんだ。ワインやチーズの味に負けない味のパンを作れたら、もっと日本のパン文化が広がると思う。
このヨーグルト酵母も、皆さん自由に試してパン作りを楽しんでいただきたい。」

レシピの背景や成り立ちを知ると、ますますパンの奥深さや面白さが感じられます。
編集部で作ったヨーグルト酵母で、パンを焼いてみました。初めて自分で作った天然酵母の力強さに驚き、生地もしっとり、程よい酸味があります。ヨーグルト酵母は家庭でも作りやすい酵母。きっと、パン作りの面白さがぐっと広がる体験ができるのではないでしょうか。

ヨーグルト酵母で作ったパンの焼き上がり

インスタントドライイーストを使用しなくても、こんな風に膨らんでくれました。ほのかな酸味と小麦粉の風味も感じられ、しっかりとむっちりした食感。みなさんもご自身のお好みのパンを見つけてみてくださいね。
ヨーグルト酵母のパン作り

酵母作りが億劫な人へ、堀田シェフからのアドバイス

酵母作るのは少し億劫だという人ももちろん、大丈夫。いつも作っているレシピの中に牛乳が入っているものはありませんか?その牛乳をヨーグルトにそのまま置き換えるだけ(分量も同じ)でも全然違う!濃厚なコクが出るから。ぜひ乳酸菌のすごさを試してみて。

◆作り方レシピ◆

<ヨーグルト種 おこし>
用意するもの:タッパー容器
※作りやすい分量、[]内はベーカーズパーセント
・北海道産全粒粉 春よ恋 100g [100%]
・水 100ml [100% (浄水器で塩素を抜いてあげた水(アルカリ性物質が除去され弱酸性になる)の方が、種作りに向いています)
・ヨーグルト 100g [100%] ※常温、生乳100%またはプレーンヨーグルトを使用
・純粋はちみつ 10g [10%]

1.ボウルに材料を入れて、やさしく軽く混ぜる。捏ね上げ温度27~28℃。
2.30℃で24~48時間発酵させる。12時間ごとにやさしくそっとかき混ぜる。細かい気泡がたくさん出てきたらできあがり。

<ポイント>
・できあがりの種は、1.5倍位になります。
・捏ね上げ温度の考え方。
粉温度+ヨーグルト温度+水温=84℃(÷3にすると28℃になります)が目安。
例:粉温度20℃、ヨーグルト20℃だった場合、水温を44℃にし混ぜ合わせる
・夏場は気温が高く、発酵が進みやすいため酵母作りに向いています

<ヨーグルト種 種継ぎ>
種おこしよりも、もっと早く発酵が進みます。
※作りやすい分量、[]内はベーカーズパーセント
・北海道産全粒粉 春よ恋 100g [100%]
・水 100ml [100%]
・ヨーグルト 100g [100%] ※常温、生乳100%またはプレーンヨーグルトを使用
・純粋はちみつ 10g [10%]
・ヨーグルト種(おこし) 50g [50%]

ロティ・オラン 堀田誠シェフ
学生時代に酵母の生物学を専攻。パン工場のライン生産管理の経験からパン作りに興味を持ち、シニフィアンシニフィエの志賀勝栄シェフに師事。ベーカリーカフェ「オラン」「ユーハイム」の新規店舗の展開にかかわったのち、2010年パン教室「ロティ・オラン」を始める。著書に『ヨーグルト酵母でパンを焼く。(文化出版局)』など多数。

TEXT & PHOTO PAINKITCHEN
協力:CUOKA Studio JIYUGAOKA

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