初心者には簡単に~もっと深く知りたい。手作りパンキッチン。

パン作りをする人のためのパンキッチン

フリアンド 谷口佳典シェフに聞く家庭用オーヴン(前編)

オーブンから焼成に至るまで…ハテナ?は尽きないですね。どのようなパンを焼きたいのか(ニーズ)によっても疑問は多種多様です。今回はパンの国際コンクール〈第5回モンディアルデュパン2015〉日本代表として出場されるなど、日々研鑽を深めておられるブーランジェリーフリアンド 谷口佳典シェフにお話を伺いました。専門学校や家庭製パン教室でも講師を務められている立場から、業務用と家庭用のオーブンの比較を明確にお答えいただいています。

▼さんだ
谷口シェフ、今回はよろしくお願いいたします。
さっそくですが、店舗の業務用オーブンと家庭用オーブンの最大の違いはどのようなところですか。

▼谷口シェフ
一般的に店のものは輻射熱で焼くデッキオーブン(平窯)と呼ばれるタイプのものです。今では武蔵やミックベーカーのように、上火下火が分かれている小型デッキオーブンを家庭に導入している方もいますね。これらの業務用オーブンと家庭用電気・ガスオーブンは、パンを焼ける共通点はあるもののシステムは全く違います。

▼さんだ
システムとは具体的にどのようなことでしょうか。

▼谷口シェフ
電気・ガス・コンベクションは、熱風を対流させて焼き上げるオーブンです。デッキオーブン(平窯)は、焼成室の路床内に電気またはガスで加熱し、庫内温度を上げています。上火下火の強さを調整ができるオーブンが多く、直火で焼き上げるということが大きな違いです。火力と蓄熱にも大きな差がありますね。

▼さんだ
そもそも「パンを焼く」とは‥。

▼谷口シェフ
パンの焼成で“焼く”は“焼減させる”こと。パン生地には多くの水分が含まれていて、窯の中で生地の水分が蒸発・乾燥する過程を経てパンという食べ物になります。生地の種類やサイズによって焼減率のベストなものが違うのは、“おいしい焼き加減”がそれぞれのパンにはあるということで、それに向け近づけるように焼くことですね。
もうひとつ、焼く工程では大切な要素がパンにプラスされますよ。それが“香り”です。パンの焼き色は”メイラード反応”(アミノ酸と糖が160℃以上に加熱されメラノイジンという褐色の物質ができあがる化学反応)によるもので、美味しそうな焼き色がパンにつくことで、カラメルのような、ほんのり甘味を感じる香ばしい香りが生まれるというわけです。

▼さんだ
谷口シェフが家庭製パン教室で講師をされる際には電気オーブンを使用することもあると伺いましたが、実際に使用してみて感じる家庭用オーブンの良さはありますか?意地悪な質問でしょうか…。

▼谷口シェフ
(少し困った表情を浮かべつつ)ないです!理由は、家庭用オーブンでは自分の焼きたいと思う理想の着地点が違っているから。それは仕方がないと思っています。でももちろんベストを尽くしますよ。例えば書道も、きちんとした毛筆で書くのと、そうではないものを用いるのでは書き上げる文字も違うはず。それと同じです。 オーブンもパンを焼く上での道具の一つでしかないので、家庭で焼くのにあたってはいろんなことに気をつけてあげられればいいのでは。

谷口シェフ、ありがとうございます。私たちは味覚で味わうのと同時に、嗅覚でも「パンの美味しさ」を感じながら食べているのですよね。きちんと焼き上げることが、美味しい焼き色と香ばしい香りをパンに与えてくれるのだと、わかりやすく聞かせて下さいました。

次回は、最後の回答にもあった「気をつけてあげられればいいこと」についてお聞きしています。

>フリアンド 谷口佳典シェフに聞く家庭用オーヴン(後編)

TEXT : Yumiko Sanda / Photo : Boulangerie Friande

店名 ブーランジェリー フリアンド
電話番号 0798-23-0101
営業時間 7:00~19:00
定休日 定休日:無休(年末年始とお盆は臨時休業)
住所 兵庫県西宮市若松町3-1
阪急夙川駅より徒歩5分 JRさくら夙川駅より徒歩5分

家庭製パン講師として、自らパン教室を主宰する、さんだ ゆみこさん。ブーランジェリーシェフとの交流も広く、様々な活動されています。さんださんは、「自宅で作るパンのいいところは、自分で選んだ安心の素材で自由に焼き上げたパンを大切な人と食べるひととき。」 と言います。
日々、教室を運営しながら自らも学び、パンに触れる暮らしの中での気づきや、パンを楽しむ皆さんへ伝えたい事を綴っていただきます。アトリエへちょっと立ち寄るような気持ちで、ご覧くださいね。

新着記事

おすすめ記事

パンづくり基本動画

Return Top